あなたの投資、税金でいくら取りこぼしてる?
計算と根拠
税制辞書バージョン 2026-08 版(公式資料との突き合わせ: 2026-08-03)。制度が変わったときに差し替えるのは lib/tax.ts の1ファイルだけです。
この診断が、あえて出さないもの
- 将来の相場・値上がり率。NISAの空き枠の見積もりに使う利回りは、当てにいく数字ではなく 「この幅で運用できたとしたら」の前提値です。画面から変更できます(既定2%〜5%)。
- 「平均的な投資家」の統計。平均利益・平均配当・平均取りこぼし額といった数字を1つも持っていません。 金額はすべて、あなたが入力した実額と公表されている税率だけから計算します。
- 偏差値。偏差値を名乗るには受験者全体の分布が必要です。持っていないので、 出しているのは知識設問の正答率そのもの(0〜100)です。
- iDeCoの受け取り方を変えたときの差額。残高・加入年数・退職金の額・勤続年数・受け取る年の間隔で桁ごと変わります。 この診断はそれらを聞いていないので、概算も出しません。専用ツールに渡します。
- 一点の金額。置いた前提が消えて数字だけが独り歩きするため、必ず下限〜上限の幅で出します。
使っている定数
すべて公表されている制度の数字です。
譲渡益・配当の税率 20.315%
公表内容内訳は 所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%。復興特別所得税は2037年分まで。
出典: 国税庁 No.1463 / 租税特別措置法37条の11
NISA 年間投資枠 360万円
公表内容つみたて投資枠 120万円 + 成長投資枠 240万円。非課税保有限度額は簿価で 1800万円(うち成長投資枠 1200万円)。売却した分の枠は簿価ベースで翌年に復活する。年間投資枠は翌年に繰り越せない。
出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト / 租税特別措置法37条の14
譲渡損失の繰越 3年
公表内容確定申告が必要で、使い切るまで毎年続けて申告しないと途切れる。NISA口座の損失は通算も繰越もできない。
出典: 国税庁 No.1474 / 租税特別措置法37条の12の2
米国株配当の現地源泉 10%
公表内容所定の書類を提出している場合の税率。日本側では、現地で引かれた後の額に約20.315%がかかる。
出典: 日米租税条約10条 / 国税庁 No.1240
配当控除 所得税 10% / 住民税 2.8%
公表内容課税総所得金額1,000万円以下の部分の率。1,000万円超の部分は所得税 5% / 住民税 1.4% に下がる。対象は内国法人からの配当のみで、外国法人(米国株など)とJ-REITの分配金は対象外。
出典: 所得税法92条 / 国税庁 No.1250
所得税と住民税で別々の課税方式は選べない
公表内容令和5年分(2023年分)の所得税確定申告から。それ以前の解説記事がまだ多く残っている論点。
出典: 令和4年度税制改正 / 国税庁 No.1330
iDeCoの重複判定は「前年以前9年内」へ
公表内容2026年1月1日以後に支払われる退職手当等から、従来の「前年以前4年内」が拡大された(いわゆる10年ルール)。退職金が先でiDeCoが後の場合の「前年以前19年内」は変わっていない。
出典: 令和7年度税制改正 / 所得税法施行令70条
取りこぼし金額の計算式
結果画面の「この金額の出どころ」に出るものと同じ式です。
① NISAの空き枠
対象額 = min(使っていない年間投資枠, 課税口座で運用している金額)
下限 = 対象額 × 想定利回りの下限 × 20.315%
上限 = 対象額 × 想定利回りの上限 × 20.315%
課税口座に置いている額を上限にしているのは、そこを超えてNISAへ移せるものが無いからです。この上限を置かないと、投資額が小さい人にも枠いっぱいの取りこぼしが出てしまいます。値上がり益は売るまで課税されないので、この額が毎年出ていくわけではありません。
② 損益通算・繰越控除
相殺できる額 = min(今年の確定売却益, 含み損の合計)
上限 = 相殺できる額 × 20.315%
下限 = 上限 × 0.5
含み損の銘柄を実際に売るかどうかは本人の判断なので、「全部やる」を上限、「半分だけやる」を下限にしています。すでに通算・繰越を動かしていると回答した場合は、取りこぼしとして数えません。
③ 外国税額控除
現地で引かれた額 = 米国株・米国ETFの配当(税引前) × 10%
下限 = 現地で引かれた額 × 40%
上限 = 現地で引かれた額 × 100%
控除限度額(その年の所得税額 × 国外所得 ÷ 所得総額)があるため、引かれた額の全部が戻るとは限りません。この 40% という下限は統計値ではなく、「全部は戻らないことがある」を表すために置いた幅です。すでに確定申告をしている方については、そのなかで外国税額控除まで取れているかを設問で聞いていないため、金額を推定せず「判定できない」と返します。
④ 配当の課税方式
総合課税の実効税率 = max(0, 所得税率 − 10%) × 1.021 + (10% − 2.8%)
上限 = 国内株の配当 × max(0, 20.315% − 総合課税の実効税率)
下限 = 上限 × 0.5
下限を半分にしているのは、総合課税・申告分離を選ぶと合計所得金額が増え、国民健康保険料などが上がって手取りの増分が目減りする場合があるためです(会社の健康保険の被保険者なら保険料は変わりません)。配当を足したあとの課税総所得で税率が決まるので、区分の境目にいる方はこの概算と結論が変わることがあります。
⑤ iDeCoの出口
金額は出しません。
残高・加入年数・退職金の額・勤続年数・受け取る年の間隔が要ります。この診断はそれらを聞いていないので、それらしい数字を置くことはしません。
課税所得の区分ごとの、配当の実効税率
④で使っている表。総合課税が有利になるのは、課税所得が低い範囲だけです。
| 課税所得 | 総合課税+配当控除 | 源泉との差 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 7.2% | 13.11% 軽い |
| 195万円超 〜 330万円以下 | 7.2% | 13.11% 軽い |
| 330万円超 〜 695万円以下 | 17.41% | 2.9% 軽い |
| 695万円超 〜 900万円以下 | 20.47% | 軽くならない |
| 900万円超 〜 1,800万円以下 | 30.68% | 軽くならない |
| 1,800万円超 | 37.83% | 軽くならない |
源泉徴収(申告不要)は 20.315%。この表は税額だけを比べたもので、手取りではありません。 総合課税を選ぶと譲渡損失との損益通算ができなくなる点も、金額に表れない差です。
設問と正解の一覧
知識設問 10問 + 行動設問 4問 = 全14問。正解と出典を先に公開しています。
1. NISA(2024年〜)の年間投資枠は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間いくらまで?
公表内容正解: 360万円
つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円 = 年間360万円です。生涯で持てる非課税保有限度額は簿価で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。
出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト / 租税特別措置法37条の14
2. NISAで買った商品を売ると、その分の非課税保有限度額は翌年に復活する。
公表内容正解: 正しい
正しい。売った商品の簿価(取得価額)ぶんの枠が、翌年に戻ります。ただし戻るのは生涯の保有限度額のほうで、年間投資枠(360万円)が同じ年に増えるわけではありません。
出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト
3. NISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できる。
公表内容正解: 誤り
誤りです。NISA口座で生じた損失は「ないもの」として扱われ、課税口座の利益と通算することも、翌年以降に繰り越すこともできません。非課税である裏返しで、値下がりしたときの救済もない、という点はNISAで最も見落とされます。
出典: 国税庁 No.1535 / 金融庁 NISA特設ウェブサイト
4. 上場株式等の譲渡損失は、確定申告すれば翌年以降 何年間 繰り越して利益と相殺できる?
公表内容正解: 3年間
3年間です。しかも、損が出た年に申告するだけでは足りず、使い切るまで毎年続けて確定申告し続ける必要があります。1年でも申告を飛ばすと、そこで繰越は途切れます。
出典: 国税庁 No.1474 / 租税特別措置法37条の12の2
5. A証券とB証券に特定口座(源泉徴収あり)があり、A社は利益・B社は損。何もしなくても自動で通算される。
公表内容正解: 誤り
誤りです。自動で通算されるのは同じ口座の中だけ。口座をまたぐ通算は、確定申告して初めて成立します。証券会社を分けている人ほど、払わなくてよかった税金をそのままにしがちです。
出典: 国税庁 No.1476 / No.1474
6. 米国株の配当で米国に引かれた税金は、確定申告の「外国税額控除」で戻ってくることがある。
公表内容正解: 正しい
正しい。米国株・米国ETFの配当は、現地で10%引かれ、その残りに日本で20.315%がかかります。この二重課税は外国税額控除で調整できます。ただし控除には限度額(その年の所得税額 × 国外所得 ÷ 所得総額)があり、引かれた額の全部が戻るとは限りません。
出典: 国税庁 No.1240 / 所得税法95条 / 日米租税条約10条
7. NISA口座で米国株を買えば、米国で引かれる10%も非課税になる。
公表内容正解: 誤り
誤りです。NISAが非課税にするのは日本の税金だけで、米国の源泉徴収10%は引かれます。さらに、日本側が非課税なので外国税額控除も使えません。つまり米国株の配当については、NISAで持つと現地の10%が取り戻せないまま残ります。
出典: 国税庁 No.1240 / 金融庁 NISA特設ウェブサイト
8. 配当を総合課税で申告したときに受けられる「配当控除」は、米国株の配当にも使える。
公表内容正解: 誤り
誤りです。配当控除の対象は内国法人からの配当。外国法人(米国株など)からの配当と、J-REITの分配金は対象外です。「配当は総合課税のほうが得」という話を米国株やREITにそのまま当てはめると、前提が崩れます。
出典: 国税庁 No.1250 / 所得税法92条
9. 配当について、所得税は総合課税・住民税は申告不要、というように別々の課税方式を選べる。
公表内容正解: 誤り
誤りです。かつては選べましたが、令和5年分(2023年分)の所得税確定申告からは、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました。少し前の解説記事がまだ大量に残っている論点なので、古い情報のまま申告すると住民税・国民健康保険料まで動きます。
出典: 令和4年度税制改正 / 国税庁 No.1330
10. iDeCoを一時金で受け取るとき、勤務先の退職金を受け取る年が近いと、退職所得控除が目減りすることがある。
公表内容正解: 正しい
正しい。勤続期間と加入期間が重なったぶん、退職所得控除は重ねて使えません。しかも2026年1月1日以後に支払われる退職手当等からは、この判定期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」へ広がりました。長らく定番だった『5年ずらす』は、もう控除を守れません。
出典: 令和7年度税制改正 / 所得税法施行令70条 / 国税庁 No.1420